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2014.07.08 up

週刊田崎 更新

仕事近況

  『球童 伊良部秀輝伝』 『ザ・キングファーザー』 『維新漂流』 『偶然完全』 『辺境遊記』 『W杯に群がる男たち』
連載中 「国境なきフットボール」 (スポーツコミュニケーションズ)
連載中 「W杯前に知っておくべきブラジル・フッチボール」 (フットボールチャンネル)

『球童 伊良部秀輝伝』 表紙
 
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『球童 伊良部秀輝伝』 2014年5月8日発売

田崎健太 / 講談社 1,728円 (税込)

 

 ぼくにとって二つ年下の伊良部秀輝はずっと気になる男だった。
彼が香川県の尽誠学園からプロ入りしたときのことは良く覚えている。そしてプロ入りからしばらくは、素晴らしい速球を持っているのになぜか勝てない投手だった。このまま消えていくのかと思っていると、突然、凄まじい勢いで勝ちだした。すると、ヤンキース行きを求めて、ロッテ・マリンーズと騒動を起こすようになった。
 その時、ぼくは週刊誌で働いていた。実際に伊良部さんを取材したことのある人間から、メディアに出ているのと違って、ぶっきらぼうなところはあるものの、きちんと取材に答えてくれるのだと聞いたことがあった。
 ぼくは人の影に惹きつけられるところがある。アメリカ人の父親と生き別れになっているという出自も含めて、圧倒的な才能がありながら世の中を上手く渡っていけない彼に興味を持った。九九年末、ぼくが出版社を辞めたとき、書きたい人間としてリストを作ったことがあった。伊良部さんはその中の一人に入っていた。
 ノンフィクションとは縁と運に大きく左右される――。ひょんなことから、事が大きく進むこともある。...

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『ザ・キングファーザー』表紙
 
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『ザ・キングファーザー』  2013年6月20日発売

田崎健太 / カンゼン 1,728円 (税込)

 

 それらしき男は、まだ来ていないようだった。
 男との待ち合わせ場所は、東京、芝にある東京プリンスホテルの一階ロビーの喫茶室だった。この日の東京は青い空が一面に広がる快晴だった。ランチボックスでも持って公園に出掛けたくなるような陽気だった。壁一面の窓硝子の向こう側には太陽の光に照らされた青々とした樹木が見えた。入ってくる人間を見逃すことがないように、喫茶店の入口付近に座って待つことにした。
―― 一体、どんな男なのだろうか?
 期待よりも怖い物見たさ、というのが正直なところだった。...

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『維新漂流』表紙
 
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『維新漂流』 中田宏は何を見たのか 2013年5月24日発売

田崎健太 / 集英社インターナショナル 1,620円 (税込)

 

 ぼくが中田宏さんに初めて会ったのは、二〇〇二年のことだった。当時、衆議院議員だった彼が横浜市長選挙に出る直前のことである。この時は、本当にすれ違った程度だった。中田さんは不利だと見られていた市長選に勝ち、政令指定都市で史上最年少の市長となった。そして横浜市の財政を立て直し、改革派若手市長として広く知られるようになった。
その後、ぼくが再会したのは二〇一〇年八月末のことだ。彼は公約通り二期で横浜市長を辞して、日本創新党という新党を山田宏さんと一緒に立ち上げ、参議院選挙に出馬、落選していた。
落選の原因は色々とある。その一つは、週刊誌による醜聞記事だった。...

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『偶然完全 勝新太郎伝』(表紙)
 
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偶然完全 勝新太郎伝 2011年12月2日発売

田崎健太 / 講談社 2,052円 (税込)

 ぼくは勝新太郎の最後の「弟子」だった。ただ、ぼくは役者でも映画関係者でもない。三味線や長唄を教わったわけでもない。いわば、「 」(括弧)つきの弟子だ。
 かつて、勝は週刊誌で人生相談を連載しており、ぼくはその担当編集者だった。週一回、二ページの連載にもかかわらず、ほぼ毎日彼のところに通った時期もあった。
 いつもこんな風だ。
 昼前に彼の自宅で待ち合わせ、昼食に出かける。山王下の日枝神社近くにあった蕎麦屋が多かった。
 店に入ると、ビールと一緒にかき揚げや板わさを頼んだ。白木のテーブルに運ばれてきた黄金色をしたかき揚げを、箸で潰して分けやすくすると「食べな」と、ぼくに勧めた。揚げたてのかき揚げは 、口の中に入れると香ばしい味がした。当時、二十代半ばだったぼくにとって、昼間から蕎麦屋で酒を飲むのは、大人の世界を覗いたような気になった。
 ざる蕎麦には、日本酒を掛けてほぐすのが勝の食べ方だった。初めて一緒に蕎麦を食べた時、「ち ょっと待て、そこまでだ」と箸を止めさせられた。ぼくはつゆをつけすぎるというのだ。「しっぽのちょっとだけ、浸けるんだ」と言うと、派手に音を立てて蕎麦を吸い込んで見せた。まるで芝居の一 場面だった。...

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