週刊田崎

田崎 健太 Kenta Tazakimail

1968年3月13日京都市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学法学部卒業後、小学館に入社。『週刊ポスト』編集部などを経て、1999年末に退社。
著書に『cuba ユーウツな楽園』 (アミューズブックス)、『此処ではない何処かへ 広山望の挑戦』 (幻冬舎)、『ジーコジャパン11のブラジル流方程式』 (講談社プラスα文庫)、『W杯ビジネス30年戦争』 (新潮社)、『楽天が巨人に勝つ日−スポーツビジネス下克上−』 (学研新書)、『W杯に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇―』(新潮文庫)、『辺境遊記』(絵・下田昌克 英治出版)。 最新刊は『偶然完全 勝新太郎伝』(講談社)。
早稲田大学講師として『スポーツジャーナリズム論』『実践スポーツジャーナリズム演習』を担当。早稲田大学スポーツ産業研究所招聘研究員。『(株)Son-God-Cool』代表取締役社長。愛車は、カワサキZ1。twitter :@tazakikenta

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201105

2012年02月25日

今週火曜日、六、七年ぶりに一志治夫さんに会ってきた。
一志さんは、『狂気の左サイドバック』『たったひとりのワールドカップ』等々で知られる、ぼくが尊敬している先輩ノンフィクション作家の一人である。一志さんは人に教えるのは苦手だとおっしゃるが、編集者時代、彼の取材に立ち会えたことが、書き手としての糧になっている。大学の授業で毎年出している推薦図書リストの中に、必ず一志さんの本は入っている。
一志さんには、『週刊現代』で『偶然完全 勝新太郎伝』の書評を書いて頂いた。何よりあの本は、ぼくが小学館を退社した直後、一志さんの家でワインを飲んでいる時に、書くように勧められたのが始まりだったのだ。

久し振りに会うと様々な話が出てくる。今週は忙しいので、酒は抑えめにするつもりだったが、次々とワインが空いた。楽しい時間はあっという間に過ぎる。
翌日も打ち合わせで飲むことになり、結局、木、金曜日にしわ寄せが行くことになった。二日間、眠くなると仮眠、起きてまた原稿という生活。こちらは先月の大阪出張等で取材を続けている橋下改革について。詳しくはまた。

【『偶然完全 勝新太郎伝』書評情報】

『プレジデント』(2012年2月27日発売号)、以下、少し前ですが…『週刊プレイボーイ』『週刊SPA!』

近くの書店にない場合は、『Amazon』で注文可です。

ガリシアにて、銀塩のGRで撮影。退社直後、ユーロ加入前のポルトガルとスペインを彷徨った。当時の写真を見ると、自分の人生がこの後、どのようになるのだろうかと不安だったことを思い出す。先が見えないからこそ、人は頭を絞るものだ。ここまで物書きとして、それなりにやってくれたのも、不安だったからだろうと思う。不安定であることは、表現者として必須かもしれない。

2012年02月19日

日曜日から那覇に行き、一昨日戻って来た。
長い原稿を抱えていた。どうせカンヅメになるならば、温泉か暖かい場所がいい。東京の寒さに嫌気が差したので、暖かい沖縄を選んだのだ。
那覇は数日前まで寒かったらしいが、日曜日から晴れとなっていた。長袖どころか、半袖にサンダルでもいいぐらいの陽気である。毎朝、海岸沿いを軽く走り、部屋で原稿。昼食を食べに出て、散歩。再び原稿を書くという生活を送っていた。遅い時間に琉球コラソンの東長濱監督や石田選手と出かけた以外は原稿に集中することができた。
知り合いの漫画家、いしかわじゅんさんは沖縄にマンションを持っている。ノンフィクションは取材が必要なので、長期間、東京を離れることは難しいにしても、いずれ住み処を持つことが出来ればと思う。

金曜日は羽田から青山に直行して、団野村さんと会食。団さんのことを書いた『AERA』が発売になったばかりである。サッカー五輪代表だった、松原良香が団さんと会いたいというので、三人で食事することにした。野球、サッカー、キューバ、ドミニカ――話は尽きなかった。
そして昨日、土曜日は府中競馬場へ。教え子の競馬関係者が席を手配してくれたので、みんなで出かけることにした。それぞれの道に進んでいる卒業生たちの話を聞くのは楽しい。競馬は負けてしまったが…。

【お知らせ】
『偶然完全 勝新太郎伝』が全く書店にないという連絡をよく受けます。那覇では大型書店も品切れでした。今週末から、重版分が配本されているようです。書店で尋ねてみてください。

沖縄の空は青く、全く夏だ。湿気があり、長袖で歩いていると汗ばんでくる。

府中競馬場に行くのは、二十数年ぶりのこと。パドックに入れてもらい、間近で馬を見た。競走馬は無駄のないレーシングマシンのようなもので、美しい。白馬は特に、だ。

2012年2月12日

明日発売の『AERA』(朝日新聞社)の『現代の肖像』で、団野村さんについて書いている。
団さんには、今年の春から、月に一回ほど時間をもらい、様々な話を聞いてきた。延べで十時間ほどのデータになる。プロ野球選手を辞めてからアメリカに渡った時の苦労された話など、面白い話が沢山あった。
『現代の肖像』は現在の出版界で数少ない、まとまった長さのノンフィクションが書ける貴重な場である(別にAKBとかに恨みはないが、同じような記事を作っているのならば、紙の無駄だと思う。特に大手出版社は、どうでもいい記事ばかり作っていないで、書き手にまともな原稿を書く場所を与える義務もあると思うのだが…)。
といっても、紙幅には限りがある。今回はダルビッシュ有投手の移籍を中心に、岩隈久志投手との決別、伊良部秀輝さんの死について書いた。
一昨年の岩隈投手のポスティング移籍については、団さんが悪役となった。ただ、ぼくの調べた限り事情は違う。多少でも団さんの名誉回復になれば、と思う。
ノンフィクションの書き手として、『現代の肖像』のような場は残って欲しいと思うので、書店やキオスクで『AERA』を購入して欲しい。

写真は中村治君。坂田栄一郎さんの弟子で、いいポートレートを撮る。AERAの扉に使った、団さんのにこやかな写真は、これまでの印象とは違っていて面白い。たぶん、この時に撮った写真だと思う。

2012年2月5日

昨日、土曜日は『実践スポーツジャーナリズム論』の最終授業だった。
後期は少人数なので、受講している学生により、授業の空気が醸造される。毎年、違った雰囲気になるのが面白い。
当たり前のことだが、学生は生もの≠ナあり、それぞれ違った個性を持っている。前年上手く行った方法が、また通用する訳ではない。毎年、教室の空気を感じながら、即興で授業内容を変えてきた。
このスタイルは、反応速度と体力が要求される。だから、いつも授業が終わるとぐったりとする(だから、その後、酒を飲みすぎてしまう…)。今年も面白い学生と出会うことが出来た。彼らはぼくの財産だ。
さて。
『偶然完全 勝新太郎伝』が今日発売の『朝日新聞』の書評で取りあげられている。先日、重版が決まったのだが、かなりの書店で品薄になっているそうだ。紀伊國屋新宿店にはまだあるようなので、是非そちらで買って欲しい。 『Amazon』には多少在庫がある。
重版が決まって、ほっとした。勝さんの面白さを知って貰うために本を書いた。あまり売れないと天国の勝さんに顔向けできない気がしていたのだ。
しかし、まだまだ売れたとは言えないので、周囲に推薦宜しくお願いします。
【その他、書評掲載情報】
『中国新聞』、『沖縄タイムス』、『下野新聞』等『週刊朝日』『キネマ旬報』『週刊現代』『女性自身』『ZAITEN』

先週、アメフトのベティ鈴木が一時帰国していた。ベティの同級生が経営する浅草の『山之宿』へ。壁には映画『あばれ鳶』の色紙があった。市川雷蔵さん主演の映画で、山之宿の先代が協力していたという。先代は浅草の鳶の流れを汲んでいる。
大将と話をすると、やはり先代の時に勝新太郎さんも来ていたという。またもや、勝さんに呼ばれているような気になった。